リンパ腫の治療中に、空腹なのに料理を目の前にしても、吐きそうになって食べられなかったり、食べても吐いてしまうことがあります。吐き気や嘔吐は治療の早い時期からあらわれますが、長く続かないことが多いです。最近は、制吐薬(吐き気止め)が進歩しており症状をコントロールすることも可能になっています。吐き気や嘔吐によって水分や食事がとれないと体力が低下してしまいます。身の回りの衣食住を整えるなど吐き気を誘発しないケアを紹介しますので、無理なくできることから試してみましょう。
(吐き気の後に胃の中の内容物が
口から逆流して体外に吐き出される)
これらの症状は抗がん剤による治療開始後24時間
以内にあらわれる急性のものと、それ以降にあら
われる遅延性のものなどがあります。
以下の症状が出たら、速やかに受診しましょう。
抗がん剤を使った化学療法や放射線治療によって、脳にある嘔吐中枢が刺激されて、吐き気を引き起こします。
日常生活や身の回りの環境を整えて、吐き気を誘発しないためのケアのポイントを「衣・食・住」に分けてご紹介します。
吐き気の後に嘔吐が起こりますので、吐き気を誘発しないように、食べやすいものを少しずつゆっくり食べましょう。食べられないときには無理をせず、食べられるときに少しずつ食べることで、1日に必要なエネルギ―や栄養をとることができます。食事の内容を変えることで症状が和らぐこともあります。
冷たく口あたりがよく、飲み 込みやすい料理 |
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味付けはあまり薄くしないで、 自分の好みのものに |
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においの少ない料理 |
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刺激の少ない料理 |
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水分はこまめにとる |
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服装は上下とも締め付けるタイプは避けてください。特にズボンはウエストがゴムになっているものではなく、ひもで調節できるもので、体調によってすぐにゆるめられるものを選びましょう。
普段からどんなリラックス方法が好きなのか、何をすると自分がリラックスできるのかを知っておくと、吐き気が出そうになっても深呼吸するなど落ち着いて行動することができます。
リンパ腫の抗がん剤で、飲み薬の場合、食後に服用することで症状が軽くなることがあります。吐き気が続くときは、医師に相談し1日で最も多い食事量の後に、多めのお水で飲むなど工夫をしてみてください。
また、抗がん剤の種類により、吐き気や嘔吐が誘発される可能性があるときは、予防的に制吐薬(吐き気止め)が処方されることもあります。まずは吐き気や嘔吐が誘発されるパターンを自分でも把握し、治療を継続しましょう。
吐き気を誘発しないような身の回りの衣食住のうち、食を中心にケア方法を紹介しました。これ以外にも生活のなかで、自分に合うケア方法が見つかったら積極的に取り入れていきましょう。
吐き気や嘔吐は一時的に起こることが多い副作用ですが、仕方がないと我慢することはありません。症状を和らげるためにさまざまな制吐薬(吐き気止め)がありますので、我慢せずに医師や薬剤師、看護師、栄養士に相談しましょう。
多数回該当や世帯合算などの条件により自己負担の上限額が軽減される場合についてご紹介します。
質問しておきたいことについて、事前にメモを用意して質問リストをつくって持っていきましょう。
リンパ腫の治療には、入院治療、通院治療があります。
ご本人が安心して治療を受けられるよう、ご家族のかたのサポートが重要です。
治療中に生じる副作用について解説するとともに、患者さん自身でできる予防法、症状を和らげるための対策について詳しく解説します。
病気を取り巻く問題である仕事・治療費・暮らしに焦点をあてて、患者さんの生活の身の回りのアドバイスをします。
治療をスムーズに進めるためのポイントやヒントとなる情報をリンパ腫治療のエキスパートよりお伝えします。
ご家族のかたへ
監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院 名誉院長 兼 臨床研究センター長、HTLV-1研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生
大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。
吐き気が出やすいだけでなく味覚障害もある方は、あまり冷やし過ぎると味を感じることができなくなるかもしれません。吐き気を誘発するような強いにおいが出なければ、人肌程度に温めてもよいでしょう。レモンなどのかんきつ類は、吐き気にも味覚障害にも役立ちます。また、口の中のにおいも吐き気を誘発するので、うがいや歯磨きで口の中を清潔に保ちましょう。うがいや歯磨きは口腔内乾燥症がある方にも効果的です。
時間にこだわらず食べたい時にいつでも摂れるパン、カステラ、クッキー、ゼリーなどを用意しておくのもよいでしょう。