口内炎は、がんの治療中に起きる代表的な口の中のトラブルのひとつです。時間が経てば徐々に改善しますが、症状が重い場合はがんの治療だけではなく、飲食や会話などの日常生活にも影響がでます。口内炎に対しては口の中のセルフケアが重要です。口の中は自分でも簡単に観察することができるので、予防を心がけ、悪化しないように工夫しましょう。
軽い場合は口の中に違和感がある程度ですが、重くなると痛みが強くて食べ物を飲み込めなくなることもあります。抗がん剤の場合は治療後数日から10日頃になりやすく、2、3週間で徐々に改善します。また、口に近い部分で放射線療法を行った場合は治療開始後1、2週間で症状が出るようになり、治療終了後は3、4週間で少しずつ回復するといわれています(ただし、リンパ腫の種類や治療内容によって異なります)。口は、飲食や会話などの日常の動作を支える重要な器官なので、口内炎になると毎日の生活に支障が出てしまいます。治療を続けるためにも、このような症状を自覚した場合は、遠慮せずに医師や看護師に相談しましょう。
抗がん剤は血液によって全身に運ばれるため、口の中の粘膜や歯茎にも影響を及ぼします。また、放射線治療でもダメージを受けることがあります。粘膜や歯茎の表面に傷ができると、そこから口腔内の常在細菌や真菌が侵入し、腫れたり、痛みが出たりするのです。
ここでは、口内炎の予防、症状の軽減のために、日常生活でできることや注意するポイントについてご紹介します。
抗がん剤の治療が始まったら、鏡を使って毎日口の中をチェックしましょう。口内炎ができやすい唇の裏側、ほおの内側、舌の側面などを、重点的に見てください。口内炎ができていたら、大きさ、色、痛みの状態などを医師や看護師に伝えるようにしましょう。
うがいや歯みがきで口腔内を衛生的に保つことで、口内炎を予防したり、症状が重くなるのを防ぐことができます。
保湿をすることで不足している唾液の働きを補い、症状を和らげることができます。
<保湿剤の特徴と形状>
スプレータイプ |
直接吹きかけることができるため、衛生的で簡便です。 |
ジェルタイプ |
口腔粘膜をおおうような効果があり、長い保湿維持が期待できます。 |
洗口タイプ |
保湿と同時に口腔内を洗浄する効果が得られます。 |
口腔内には多くの細菌がいます。リンパ腫の治療によって免疫力の低下が起こると、細菌を原因とする合併症があらわれることがあります。そのため、リンパ腫治療の開始前に歯科を受診し、むし歯などに対する処置を受けておきましょう。また、リンパ腫の治療中も定期的に歯科検診を受けるなどして、口腔内の衛生環境を良好に保つようにしましょう。
痛みなどの症状が重い場合には刺激の少ない物を用意し、咀嚼ができない場合には食べやすい形で用意するなど、食べ方を工夫してみましょう。
刺激の強い料理は避ける |
なるべく控えるもの
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調理法を工夫する |
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感染をさける |
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食べ方を工夫する |
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なお、痛みがある場合、うがいで症状が軽くなることもありますが、うがいだけで痛みがとれるわけではありません。痛みの程度によって、うがいの他に痛み止めを使う場合などいろいろな対応があるので、詳しくは医師や看護師にご相談ください。
口腔内に潜むカンジダという真菌(カビ)の一種が、免疫力の低下や唾液の減少などによって過剰に増殖することで発症する病気です。口腔内がピリピリする、ザラザラするといった違和感が症状としてあらわれますが、抗真菌薬の服用と口腔ケアで治療することができます。このような症状がみられた場合は、早めに医師、看護師、または歯科医師に相談しましょう。
口内炎は、予防や症状軽減のために、日常生活のなかでできることがたくさんあります。しっかりと治療を続けるためにも、口の中を健康に保ち、体力を維持できるよう、医師や看護師、栄養士などと相談しながら、ご自身の状態にあわせて、できることから始めてみましょう。
多数回該当や世帯合算などの条件により自己負担の上限額が軽減される場合についてご紹介します。
質問しておきたいことについて、事前にメモを用意して質問リストをつくって持っていきましょう。
リンパ腫の治療には、入院治療、通院治療があります。
ご本人が安心して治療を受けられるよう、ご家族のかたのサポートが重要です。
治療中に生じる副作用について解説するとともに、患者さん自身でできる予防法、症状を和らげるための対策について詳しく解説します。
病気を取り巻く問題である仕事・治療費・暮らしに焦点をあてて、患者さんの生活の身の回りのアドバイスをします。
治療をスムーズに進めるためのポイントやヒントとなる情報をリンパ腫治療のエキスパートよりお伝えします。
ご家族のかたへ
監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院 名誉院長 兼 臨床研究センター長、HTLV-1研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生
大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。
口内炎は、最初は口の中の一部が腫れたり、飲み込むときに軽い痛みがある程度ですが、時間が経つと口の中が全体的にひりひりする、飲み込みにくい、会話しくにい、などの症状がでます。症状に応じてお薬も含め、いろいろな対処法があるので、口内炎の症状を自覚したら、早めに医師や看護師にご相談ください。