リンパ腫の治療中には唾液が減少することで口の中が乾いてしまい、食感や味覚、口の中の環境に影響を与えることがあります。口腔乾燥症は、食事の楽しみを減少させ、食欲不振になることも多く、患者さんが最もつらいと感じる副作用の一つです。これらの症状を少しでも軽減できるよう、保湿や衛生面を意識したケアを紹介しますので、できるところから試してみましょう。
抗がん剤を使った化学療法や放射線療法 によって、唾液を分泌する細胞がダメージを受け、唾液の量が減ることによって口の中(口腔)が乾いた状態になります。
減少した唾液の働きを補うことを目的としたケアのポイントをご紹介します。
うがいや歯みがきによって口腔内を衛生的に保つことで、炎症や感染症を防ぐことができます。
保湿をすることで不足している唾液の働きを補い、症状を和らげることができます。
<保湿剤の特徴と形状>
スプレータイプ |
直接吹きかけることができるため、衛生的で簡便です。 |
ジェルタイプ |
口腔粘膜をおおうような効果があり、長い保湿維持が期待できます。 |
洗口タイプ |
保湿と同時に口腔内を洗浄する効果が得られます。 |
口腔内には多くの細菌がいます。リンパ腫の治療によって免疫力の低下が起こると、細菌を原因とする合併症があらわれることがあります。そのため、リンパ腫治療の開始前に歯科を受診し、むし歯などに対する処置を受けておきましょう。また、リンパ腫の治療中も定期的に歯科検診を受けるなどして、口腔内の衛生環境を良好に保つようにしましょう。
唾液は、口の中の乾燥を防いだり、粘膜を覆って保護するだけではなく、味を感じる細胞(味蕾)に味覚をとどける働きをしています。また、唾液には抗菌作用があるので、口内炎の悪化を防ぐためには十分な量が出ていることも必要です。唾液の量が少ないという場合は、唾液が出やすくなるように、「口を閉じて舌で左右のほおを押す」「口を開けて舌を突き出して上下左右に数回動かす」など、舌を動かす体操をしてみるのもよいでしょう。
唾液の減少は味覚障害や感染症の原因となりますが、保湿や衛生面のケアを習慣づけることによってそれらを予防することができます。毎日の食事や会話を少しでも楽しむことができるように、医師や看護師に相談しながら無理なく継続できる口腔ケアを試してみましょう。
多数回該当や世帯合算などの条件により自己負担の上限額が軽減される場合についてご紹介します。
質問しておきたいことについて、事前にメモを用意して質問リストをつくって持っていきましょう。
リンパ腫の治療には、入院治療、通院治療があります。
ご本人が安心して治療を受けられるよう、ご家族のかたのサポートが重要です。
治療中に生じる副作用について解説するとともに、患者さん自身でできる予防法、症状を和らげるための対策について詳しく解説します。
病気を取り巻く問題である仕事・治療費・暮らしに焦点をあてて、患者さんの生活の身の回りのアドバイスをします。
治療をスムーズに進めるためのポイントやヒントとなる情報をリンパ腫治療のエキスパートよりお伝えします。
ご家族のかたへ
監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院 名誉院長 兼 臨床研究センター長、HTLV-1研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生
大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。
口腔ケアは毎日継続することが大事ですが、治療中は体調がすぐれないときが少なくなく、毎食後に歯みがきができない場合もあります。そのようなときは、無理をせずにできるときに行いましょう。また、こまめに口をすすぐだけでも効果的です。