抗がん剤などの治療で手先や足先にしびれや痛みを感じることを、末梢神経障害と呼びます。最初はちょっとした違和感からはじまり、一時的なしびれや軽い痛みでおさまることがありますが、徐々に症状が強くなったり、ひろがることもあります。末梢神経障害が起こるとされる薬剤は限られています。自分の薬が当てはまる場合は、観察を心がけましょう。抗がん剤の種類や治療期間によって異なりますので、症状を自覚したら、我慢せずに医師や看護師、薬剤師に伝えるようにしましょう。
症状は徐々に強くなることもあるので、自覚した場合は早めに医師や看護師、薬剤師に相談しましょう。
症状は徐々に強くなることもあるので、自覚した場合は早めに医師や看護師、薬剤師に相談しましょう。
三嶋秀行 監:そのまま使える がん化学療法 患者説明ガイド, メディカ出版, p146-147, p150, 2015,
日本がんサポーティブケア学会 編:がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引き 2017年版,
金原出版, p67, 2017を参考
国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「しびれ もっと詳しく」
(https://ganjoho.jp/public/support/condition/peripheral_neuropathy/ld01.html)
[2024年3月閲覧]
末梢神経とは、脳や脊髄から手足の先まで伸びている神経線維のことです。痛みや寒さの感覚を伝える、手足を動かす命令を伝える、血圧や発汗を調整するなど、さまざまな働きを担っています。末梢神経がうまく働かなくなると、手足がしびれる、力が入らないといったいろいろな症状があらわれます。末梢神経障害は、抗がん剤を使った化学療法や放射線療法によって、末梢神経がうまく働かなくなることが原因と考えられています。
三嶋秀行 監:そのまま使える がん化学療法 患者説明ガイド, メディカ出版, p146-152, 2015
日本がんサポーティブケア学会 編:がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引き 2017年版,
金原出版, p17, 2017
ここでは、日常生活の中で症状を悪化させない工夫や、手足のしびれなどが原因で起こるけがなどを防ぐポイントをご紹介します。
末梢神経障害があらわれているとき、手先や足先の感覚は鈍くなっています。手足を冷やさないようにと湯たんぽを使う場合は、なるべく低温にして長時間同じ場所にあてないようにしてください。また、熱い物に触っても気付かない場合もあるので、やけどにも注意が必要です。鍋つかみを使う、風呂に入る前に温度計でお湯の温度を確かめる、など工夫してください。
手足に力が入らず、思わぬけがをすることもあります。転んだりけがをしないように、履物や身の回りのものに注意してください。
日常生活の細かな点に注意して、思わぬけがを防ぎ、快適な日々を過ごせるように具体的な方法をご紹介しました。末梢神経障害は、早期発見・早期対策がとても重要です。症状が軽くても少しでも不快に感じたり、日常生活に影響がでるような場合は、悩まずに医師や看護師、薬剤師に相談してください。
日本がんサポーティブケア学会 編:がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引き 2017年版,
金原出版, p67, 2017
多数回該当や世帯合算などの条件により自己負担の上限額が軽減される場合についてご紹介します。
質問しておきたいことについて、事前にメモを用意して質問リストをつくって持っていきましょう。
リンパ腫の治療には、入院治療、通院治療があります。
ご本人が安心して治療を受けられるよう、ご家族のかたのサポートが重要です。
治療中に生じる副作用について解説するとともに、患者さん自身でできる予防法、症状を和らげるための対策について詳しく解説します。
病気を取り巻く問題である仕事・治療費・暮らしに焦点をあてて、患者さんの生活の身の回りのアドバイスをします。
治療をスムーズに進めるためのポイントやヒントとなる情報をリンパ腫治療のエキスパートよりお伝えします。
ご家族のかたへ
監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院 名誉院長 兼 臨床研究センター長、HTLV-1研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生
大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。
一般的に副作用の症状は人によって異なりますが、しびれや痛みはとくに個人差が大きいといわれています。症状があらわれる場所や症状の強さがさまざまで、表現が多岐にわたることが理由の一つですので、説明する際はどの場所がどのくらい、いつからなのかを具体的に伝えることが大切です。例えば、「指先(足先、足の裏)が」「治療を開始して10日目位から」「しびれている(感覚が鈍い、痛みがある)」などのように伝えましょう。また、日常生活のどんな動作が難しいのかが具体的に伝えられるとよいでしょう。様子が細かく分かると、患者さんの状態にあった適切な対処ができるのです。