監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院 名誉院長兼臨床研究センター長、HTLV-1研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生
リンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化することでおこる血液のがんです。リンパ球ががん細胞となり、リンパ管を通って全身をめぐりながら、リンパ節や臓器にかたまりをつくってしこりやこぶになります。そのため、一般的にはリンパ節が腫れますが、そのほか胃や皮膚、脳など全身のどこにでもできる可能性があります。
国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「悪性リンパ腫について」
(https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html)
[2023年9月閲覧]
飛内賢正 監修:血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 講談社, p18, 2015
リンパ管は全身に広がっている
人間のからだには、血管のほかに、リンパ管が全身に網の目のように広がっています。リンパ球は、その中を流れるリンパ液の成分で、リンパ管を通って全身をめぐっています。リンパ球には、細菌やウイルスなどの病原体や異物から、からだを守るはたらき(免疫)があります。
田沼久美子 他 監修:からだの事典, 成美堂出版, p178, 180, 182, 2006
リンパ節は関所のはたらき
よくかぜをひいた時にリンパ節が腫れる、痛むといいますが、リンパ管には首やわきの下、太ももの付け根などに、リンパ管の集まったリンパ節があります。リンパ節は細菌やウイルスなどの異物を取り除く、いわば関所のようなはたらきをしています。
飛内賢正 監修:血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 講談社, p14-15, 2015
国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「リンパ節」
(https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/lymph_setsu.html)
[2023年9月閲覧]
リンパ節
首やわきの下、足の付け根などにあるリンパ管の集まり
田沼久美子 他 監修:からだの事典, 成美堂出版, p180-181, 2006,
𠮷岡成人 編集:内科外来診療マニュアル 第3版, 医学書院, p125, 2003より作成
リンパ腫にはたくさんの種類がある
リンパ球には主に3つの種類があり、それぞれB細胞、T細胞、NK細胞といいます。リンパ球を含む白血球や、赤血球、血小板という血液の成分は、骨の中心にある骨髄というところでつくられる、造血幹細胞という細胞が成長しながら枝分かれしてできたものです。造血幹細胞からリンパ球に成長してくる過程のどこでがんになるか、またそれぞれのリンパ球で種類も異なるため、リンパ腫には非常にたくさんの種類があります。
リンパ球が、がん化する原因については、ほとんどがわかっていません。原因がわかっているのは、成人T細胞白血病リンパ腫などのウイルス感染によっておこるものや、慢性的な炎症が原因でおこるものなど、ごく一部のリンパ腫のみです。
飛内賢正 監修:血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 講談社, p12-13, 19, 2015
永井 正:図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫, 法研, p155, 2016
飛内賢正 監修:血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 講談社, p12-13, 2015 より作成