さ行
さ
催奇形性
お薬や放射線などが胎児に奇形を生じさせる可能性のことです。
サイクル
がん治療において、決められた治療のメニューを繰り返す一定の周期のことをいいます。たとえば、リンパ腫に対する代表的な治療法であるCHOP療法は、原則として3週間を1サイクルとしています。
再燃
治療によって病気の症状が抑えられた状態から、再び悪化することをいいます。
し
自家造血幹細胞移植 (自家移植)
患者さん自身の造血幹細胞を輸血と同じように点滴で体内に移植し、血液をつくる機能を回復させる方法です。リンパ腫に対する大量化学療法では、がん細胞だけでなく造血幹細胞も減少してしまうため、あらかじめ造血幹細胞を採取・保存しておき、大量化学療法後に移植します。これに対し、ドナー(さまざまな条件を満たす提供者)の造血幹細胞を移植することを「同種造血幹細胞移植」といいます。
支持療法
病気そのものに対する治療ではなく、病気に伴う症状や治療による副作用の予防あるいは軽減のために行われる治療のことをいいます。
腫瘍
細胞の異常な増殖をいい、無害なものを「良性腫瘍」、有害なものを「悪性腫瘍」とよびます。また、発生する部位によって、「固形腫瘍」または「液性腫瘍」に分けられます。固形腫瘍は、特定の臓器・組織(乳房、肺、前立腺、大腸、脳、子宮、膵臓、皮膚、肝臓など)の細胞の塊として増殖します。リンパ腫は成熟した免疫系の細胞に生じる腫瘍で、固形腫瘍に含まれます。一方、液性腫瘍は血液中で増殖する腫瘍で、代表的な疾患として白血病などが挙げられます。
腫瘍径
腫瘍の直径です。腫瘍径の変化は、病気の進行や治療効果の判定材料となります。
腫瘍細胞
外部からコントロールされずに異常な増殖を続ける細胞のことで、悪性の腫瘍細胞は一般にがん細胞とよばれます。多くの場合、腫瘤を形成します。
腫瘍崩壊症候群
治療によって短時間に大量のがん細胞が壊れることで起こる副作用です。多くの場合、治療開始から 12時間~72 時間以内に、体内の尿酸が増えたり、電解質(カリウム、カルシウム、リンなど)のバランスが崩れたり、血液が酸性になったり、尿量が減少したりします。自覚症状に乏しい副作用であるため、血液検査、尿検査、尿量測定などによる確認が重要となります。治療開始前に予防のお薬を投与することで抑えることが可能です。
腫瘤
原因に関わらず、体表や体内にできたしこりの総称です。「こぶ」「はれもの」のことをいいます。
消化管内視鏡検査
画像検査のひとつで、内視鏡を使って胃や腸(消化管)を直接観察する検査です。口または鼻から内視鏡を入れて、食道、胃、十二指腸を観察する上部消化管内視鏡検査と、肛門から内視鏡を入れて大腸を観察する下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡検査)があります。
静注(静脈内注射)
血管(静脈)の中に注射をすることをいい、点滴の手段として一般的に行われます。このほかの注射の方法には、筋肉に注射する「筋注」、皮膚の下に注射する「皮下注」などがあります。
腎炎
腎臓に炎症を起こす病気の総称です。
新規薬剤
発売されてから間もないお薬や、開発治験中もしくは開発治験が計画されている新しい薬のことです。
真菌
感染症を引き起こす病原体の一種で、糸状菌(一般でいうカビ)、酵母、キノコの総称です。いくつかの真菌は健康な人の体にも存在していますが、リンパ腫治療の影響などで免疫力が低下している状態では、真菌が感染して害を与えることがあります(真菌症)。
進行期
リンパ腫の病期分類(Ann Arbor分類)のⅢ期(横隔膜より上と下の両方に、リンパ節やリンパ系組織の腫れがある状態)とⅣ期(リンパ節以外の臓器にリンパ腫が広がっている状態)、および巨大腫瘤のある全病期をいいます。
浸潤
がん細胞が周囲の組織にしみ出るように広がることです。
腎障害
さまざまな原因によって、血液中の老廃物をろ過する腎臓の働きが弱くなっている状態です。
す
ステージ(病期)
病気の重症度や進行の程度を段階的に表す基準のことです。 →は行「病期」参照
せ
生検
がんの疑いのある部分の組織を採取して、がん細胞の有無やその悪性度を調べる検査です。手術や内視鏡検査、超音波検査(エコー)やCT検査を行いながら、細い針などで組織や臓器の一部を採取して、顕微鏡で詳しく調べます。生検組織診断ともよばれます。採取した組織を使って、染色体検査や遺伝子検査を行うこともあります。
成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL
またはATL)
ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)が白血球の一種であるTリンパ球に感染することで引き起こされるリンパ腫です。発症すると発熱、倦怠感、リンパ節の腫れ、発疹やしこりなどの皮膚症状、肝臓や脾臓の腫大などがあらわれます。ウイルスは主に母乳や性交渉、輸血(現在はほぼない)で感染しますが、感染しても約95%の人は発症しません。進行の早いタイプと遅いタイプがあり、進行の早いタイプでは抗がん剤による化学療法や造血幹細胞移植が行われます。一方、進行の遅いタイプでは、病気が進行するまで治療をせず、経過を観察することもあります(無治療経過観察)。→当サイト内「検査・診断・治療>疾患編:成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL/ATL)」参照
生存期間(OS)
病気が診断された後、また病気の治療を行った後に、生存することができた期間のことです。英語ではOverall Survivalといいます。
生存率
がんの診断から一定期間後に生存している患者さんの割合で、治療の効果を判定する目安になります。たとえば、5年生存率70%というのは、5年後に生存している患者さんの割合が7割であることを示します。
生着
移植した臓器が、移植後に正常な働きを回復した状態をいいます。リンパ腫に対する造血幹細胞移植では、移植した造血幹細胞が造血機能を回復し、赤血球、白血球、血小板などの血液細胞を作り始めた状態をいいます。
セカンドオピニオン
ある病院の特定の医師からだけではなく、別の診療科や別の病院の医師にも、診断や治療に関して「第2の意見」を聞くことをいいます。セカンドオピニオンを受けることにより、より多くの治療法のなかから、治療の選択が可能になることがあります。
赤血球
血液細胞の一種で酸素を運ぶ役割をもちます。リンパ腫の治療では、抗がん剤や放射線の影響によって赤血球をつくる骨髄のはたらきが抑えられるため、赤血球が減少し、貧血などの症状があらわれることがあります。
そ
造血幹細胞移植
血液細胞のもとになる造血幹細胞を輸血と同じように点滴で体内に移植し、血液をつくる機能を回復させる方法です。あらかじめ採取しておいた患者さん自身の造血幹細胞を用いる「自家造血幹細胞移植」と、ドナー(さまざまな条件を満たす提供者)の造血幹細胞を用いる「同種造血幹細胞移植」があります。
造血幹細胞採取(幹細胞採取)
大量の抗がん剤を用いた治療は、血液細胞のもとになる造血幹細胞を減少させるため、移植が必要になります。この移植に必要となる造血幹細胞を血液から採って、保存しておくことを造血幹細胞採取といいます。造血幹細胞は、血管を流れる血液中にほとんど存在しないため、一時的に造血幹細胞を増やすお薬を投与してから採取します。患者さんご自身の造血幹細胞を移植に使用する場合は、大量の抗がん剤の投与前にあらかじめ採取しておきます。
奏効
治療の効果が得られた状態をいいます。
奏効率
病気の治療後、治療の効果(奏効)がみられた患者さんの割合をいいます。たとえば、奏効率70%であれば、70%の患者さんに一定の治療効果があったことを示します。