英字
A
ABVD療法
ホジキンリンパ腫の治療で行われる化学療法のひとつです。使用する4種類の薬剤の頭文字からABVD療法とよばれます。→当サイト内「検査・診断・治療>基本編:リンパ腫の治療」参照
ALP(アルカリフォスファターゼ)
小腸の粘膜、腎臓、骨、肝臓などに多く存在するアルカリフォスファターゼ(Alkaline Phosphatase)の略です。 →あ行「アルカリフォスファターゼ」参照
Ann Arbor分類
リンパ腫の病期(ステージ)と症状の分類に広く用いられている基準です。病期をⅠ~Ⅳの4段階であらわし、数字が大きいほど病状が進行していることを示します。
病期 | 症状 |
---|---|
Ⅰ期 | 1ヵ所(1領域)のリンパ節または単一のリンパ節外臓器の腫れがある状態 |
Ⅱ期 | 横隔膜より上もしくは下のどちらか一方に、2ヵ所以上のリンパ節やリンパ系組織の腫れがある状態 |
Ⅲ期 | 横隔膜より上と下の両方に、リンパ節やリンパ系組織の腫れがある状態 |
Ⅳ期 | リンパ節以外の臓器にリンパ腫が広がっている状態 |
また、38℃以上の発熱、寝汗、体重減少がみられる場合は「B症状」とし、これらの症状がみられない場合は「A症状」と分類します。→当サイト内「リンパ腫を知る>リンパ腫の種類>リンパ腫の病期(ステージ)」参照
ATLL(成人T細胞白血病リンパ腫)
T細胞リンパ腫のひとつである成人T細胞白血病リンパ腫(Adult T-cell Leukemia/
Lymphoma)の略です。 →さ行「成人T細胞白血病リンパ腫」参照
B
BUN(血中尿素窒素)
タンパク質が分解されてできる物質である血中尿素窒素(Blood Urea Nitrogen)の略です。 →か行「血中尿素窒素」参照
B細胞リンパ腫
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫や濾胞性ろほうせいリンパ腫、バーキットリンパ腫などのB細胞を由来としたリンパ腫の総称です。
B症状
リンパ腫の病期の判定基準であるAnn Arbor分類では、以下の全身症状を「B症状」と定義しています。
- 38℃を超える発熱
- 寝具(掛け布団やシーツなど)を交換しなければならないほどの寝汗
- 診断前6ヵ月以内に10%を超える体重減少
C
CAR-T細胞療法
患者さんの免疫細胞の一種であるT細胞をとり出し、がんを攻撃する能力を高めるように遺伝子操作して体内にもどすがん免疫療法の一つです。
CD20陽性
の表面に「CD20」という分子があらわれた状態をいいます。B細胞非ホジキンリンパ腫では、がん化したB細胞にCD20があらわれることが多いため、CD20を標的とする抗体薬が治療に用いられることがあります。
CT検査
画像検査のひとつで、体の周囲から連続してX線を照射させ、透過したX線の量をコンピューターで解析します。体の輪切り画像(横断面)をつくることができるため、レントゲン検査ではわかりにくい体の深部にある腫瘍の位置や大きさなどを調べることができます。CTとは、Computed Tomography(コンピューター断層撮影)の略です。
E
Epstein-Barr Virus(EBV)
Bリンパ球(B細胞)に感染して、バーキットリンパ腫のようなB細胞リンパ腫や胃がんを発症させると考えられているウイルスです。25歳までにほぼ100%が感染しているとされています。思春期以降に感染すると、発熱、咽頭炎、リンパ節の腫れなどの症状(伝染性単核球症)をあらわすことがありますが、多くは乳幼児期に感染し無症状です。
H
HLA
ヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen)とよばれる分子で、多くの細胞の表面に存在し、自分の細胞とそれ以外の細胞を見分ける目印として働きます。白血球の一種であるT細胞は、HLAが一致しない自分以外の細胞(細菌、ウイルス、がん細胞など)を排除するように働きますが、一方で他人の臓器を移植する際に拒絶反応の原因となります。
HTLV-1
成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)の原因となるヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(Human T-cell Leukemia Virus type-1)のことです。HTLV-1は母乳、性交渉、輸血(現在はほぼない)によって、白血球の一種であるTリンパ球(T細胞)に感染しますが、感染者の約95%はATLLを発症しないとされています。→当サイト内「検査・診断・治療>疾患編:成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL/ATL)」参照
I
L
M
MRI検査
画像検査のひとつで、体内の水分に結合している物質(プロトン)が電磁波に反応して発する信号をとらえて解析します。脊髄や骨盤の内側など、CT検査では撮影しにくい部位も調べることができ、体のさまざまな角度の断面を見ることができます。特に、脳、脊髄、関節、子宮、卵巣、血管などの撮影を得意としています。検査室内に強い磁場を発生させるため、検査中は機器から大きな音がします。また、磁場が金属に影響を与えるため、心臓ペースメーカーなどを装着している患者さんでは撮影できないことがあります。MRIとは、Magnetic Resonance Imaging(核磁気共鳴画像法)の略です。
N
NCCNガイドライン
米国の主要ながんセンターで構成される NPO団体(National Comprehensive Cancer Network)が作成・公開しているがん診療のためのガイドラインで、世界中で広く利用されています。
O
P
PerformanceStatus(PS)
全身状態の指標のことです。 →は行「パフォーマンス・ステータス」参照
PET検査
画像検査のひとつで、がん細胞がブドウ糖をたくさん代謝する性質を利用します。ブドウ糖に似たお薬(18F-FDG)を投与して、がん細胞に集まった18F-FDGが発する放射線を撮影します。放射線ががんの目印となるため、非常に小さな早期のがんを撮影することができます。また、がん細胞の場所をより詳しく調べるため、CT検査と組み合わせることもあります(PET-CT検査)。PETとは、Positron Emission Tomography (陽電子放出断層撮影)の略です。
PFS(無増悪生存期間)
臨床試験の評価項目のひとつで、「治療開始日」や「診断確定日」、「臨床試験登録日」から悪化しない状態で生存が可能であった期間をいいます。PFSとは、Progression-Free Survival(無増悪生存期間)の略です。
Q
QoL(Quality of Life)
生活の質のことをいいます。病気や治療の副作用、後遺症などによって、それまであたりまえに行えた生活ができなくなることがあり、これを「QoLが低下する」などと表現します。治療法を選ぶときには、治療の効果だけでなく、患者さんが自分らしく納得のいく生活の質を保てるかどうかも考慮します。
R
R-CHOP療法
リンパ腫に対して行われるCHOP療法という化学療法に、CD20を標的とする抗体薬を組み合わせた治療法です。リンパ球のひとつであるB細胞を由来とするリンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫など)に対して行われます。通院による治療(外来治療)が可能な場合があります。
T
T/NK細胞リンパ腫
末梢性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫-鼻型など、T細胞またはNK細胞を由来としたリンパ腫の総称です。→当サイト内「リンパ腫を知る>リンパ腫の種類」参照
TTP(無増悪期間)
臨床試験の評価項目のひとつで、「治療開始日」や「診断確定日」、「臨床試験登録日」から悪化しない状態が続いている期間をいいます。TTPとは、Time to Progression(無増悪期間)の略です。
X
- 日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版,2023
「第Ⅱ章リンパ腫 Ⅱリンパ腫 悪性リンパ腫総論」 - 国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス がんに
関する用語集(https://ganjoho.jp/)[2024年3月閲覧] - 木崎昌弘 監:よくわかるがん治療 血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 主婦の友社, 2020
- 飛内賢正 監:血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 講談
社, 2015 - 伊藤正男ほか 編:医学書院 医学大辞典 第2版, 医学書院, 2009
- 神田善伸 監:ウルトラ図解 血液がん, 法研, 2020
- 再生医療学会:再生医療ポータル (https://saiseiiryo.jp/keywords/detail/car-t.html) [2024年3月閲覧]