監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院 名誉院長兼臨床研究センター長、HTLV-1研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生
リンパ腫には70種類以上ものタイプがあり、種類によって病気の進行の速さや治療法も異なります。
国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「悪性リンパ腫について」
(https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html)
[2023年9月閲覧]
日本人に多い非ホジキンリンパ腫
リンパ腫は大きく分けて、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2種類に分けられます。日本では非ホジキンリンパ腫の患者さんが多く、リンパ腫全体の約90%を占めています1)。さらに、非ホジキンリンパ腫は、リンパ腫のもととなる リンパ球 の種類(→リンパ腫とは)によって、B細胞リンパ腫とT/NK細胞リンパ腫に分かれます。
1) Chihara D, et al.: Br J Haematol 164(4): 536-545, 2014
国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「悪性リンパ腫について」
(https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html)
[2023年9月閲覧]
リンパ腫の種類
Chihara D, et al.: Br J Haematol 164(4): 536-545, 2014より作成
リンパ腫の種類と悪性度
リンパ腫は種類によって、病気の悪性度が異なります。悪性度とは病気の進行の速さのことで、悪性度が高いほど速く進行します。1年以上もかかって、ゆっくりと腫れが大きくなるような進行の遅い(悪性度が低い)リンパ腫もあれば、数週間で腫れが増大して急激に状態が悪くなる進行の速い(悪性度の高い)リンパ腫もあります。低悪性度のリンパ腫では、病気が進行するまで治療をせずに、定期的に様子を見ていく場合もあります(経過観察といいます)。一方、高悪性度のリンパ腫の場合には、すぐに治療を始めることが必要です。
国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「悪性リンパ腫について」
(https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html)[2023年9月閲覧]
リンパ腫の病期(ステージ)
さらに、リンパ腫の進み具合はリンパ腫の広がりによって、4つの病期(ステージ)に分かれます。同じリンパ腫の種類でも、ステージによって治療法は異なります。
病期(ステージ)分類
臓器病変
リンパ節病変
首の下やわきの下など1ヵ所(1領域)のリンパ節や、扁桃腺、胸腺、脾臓など単一のリンパ節外臓器に腫れがとどまっている
横隔膜より上もしくは下のどちらか一方に、2カ所以上のリンパ節やリンパ系組織の腫れがある
横隔膜より上と下の両方に、リンパ節やリンパ系組織の腫れがある
リンパ節以外の臓器(骨髄や肝臓など)にリンパ腫が広がっている
上の病期分類に、38℃以上の発熱、ひどい寝汗、原因不明の体重減少(6ヵ月以内に普段の体重の10%以上減る)のいずれかの症状がある場合には、病期の後に「B」とつけます。症状がない場合には「A」とつけます。
(Ann Arbor分類をもとに作成)
日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版,2023
「第Ⅱ章リンパ腫 Ⅱリンパ腫 悪性リンパ腫総論」
リンパ腫は、その種類ごとに特徴があり、治療法も異なります。自分
の病気がどのリンパ腫であるか、また悪性度やどのくらい進行してい
るかを知ることは、これから行っていく治療法を決定するうえで、大
変重要になります。そのため、たくさんの検査を行うことが必要なの
です。
リンパ腫の名前は耳慣れないものが多く戸惑ってしまうかもしれませ
んが、主治医からの説明をよく聞いて、わからないことがある場合に
は何でも質問するようにしましょう。
公益財団法人慈愛会 今村総合病院
名誉院長兼
臨床研究センター長、
HTLV-1研究センター長
宇都宮 與先生